藤子先生が漫画を描いた当時、日本の漫画市場にはヒーローを主人公にした漫画があふれていたが、彼はヒーローではない主人公を作りたいと考え、それがのび太でした。

その根本的な理由は、のび太が自分自身をそのまま映し出していると感じたからだと藤子先生は告白しました。 藤子先生は、どちらかというと自分の物事の判断に自信がなく、劣等感を持っているといって、 子供の頃、他の同級生と比べて、ずいぶん鈍感だったので、団体競技に参加するのも嫌だったが、人に迷惑をかけるのではないかと恐れていました。 また、成績はのび太ほど悲惨ではなかったが、自慢できるようなものではありませんでした。 そんな藤子先生が唯一頼りにしていたのが漫画でした。

藤子先生がのび太というキャラクターを作ったのは、たとえ自分の道がそれほど明るくなくても、やるべきこととやってはいけないことをはっきり知て、控えていくべきだということをみんなに伝えるためでした。 のび太は一見出世できない学生に見えますが、かなり楽観的で、一歩ずつゆっくりと成長して、簡単にあきらめないといういい子です。

1996年9月29日、作者の藤子・F・不二雄先生の葬儀で、弔問客に配られた紙にはこう書かれていました：「子供のころ、僕は「のび太」でした」。 体が弱かったので、いじめられっ子だったが、「ポケットから何か出して、いじめっ子を驚かせたい」という藤子・F・不二雄の思いが、ドラえもん誕生の原点かもしれません。